ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

そのなかにある、すべてのすべて(ss)



目にゴミが入ったと飛段が訴えてくるので角都は鴇色の目をじっとのぞきこむ。飛段の目にはよく異物が入るが、なぜか互いに暇な時に限られるので、角都は大抵辛抱強く相棒の要望に付き合う。瞳に集中すると顔の距離が近くなるが、時々近づきすぎることもあり、正しい距離を保つために角都は片手を飛段の頬に添える。飛段はまっすぐに角都の目を見返したり視線を逸らしたり、時には自分の片手を角都の手に添えたりする。今日も飛段の瞳は雄弁だ。そしていつまで探してもゴミは見つからない。