ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

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昨夜、何を(ss)

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真昼間、仕事の打ち合わせの最中に飛段が居眠りをする。角都は呆れるが、暴力に訴えても相手は怒るか喜ぶかであろうし、どちらにしても打ち合わせは進まない。角都は飛段のあごをつかみ、墨を含ませた筆で眠りこける顔に落書きをする。まぶたに見開いた目玉…

妄想にさえお前が必要(ss)

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ある組織が飛段を勧誘にやってきた。俺への働きかけはよくあるが、飛段を選ぶのは珍しい。飛段は勧誘を断り、俺はこっそり安堵したのだが、貴様を我慢できるのは俺ぐらいのものだろうと軽口をたたいてから様子がおかしくなった。ハァ?別に我慢してくれと頼…

絶滅危惧種(ss)

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パンダの毛色は保護色とは思えない、草食だし動きもとろいし、よくも滅びないで今に至ったものだ。そう言って角都が長くてかたい指でオレの竿をきつくしごくので早々に出してしまった。そのまま息を切らしているところに出し入れされ、だるい体が勝手に痙攣…

俺の(ss)

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奴が買ったばかりのソフトクリームを地面に落としたので俺のをやったことがあった。特に好きな菓子でもなかったからだ。奴はヤリィと笑ってそれを二口で食べ、世界で一番愛してるぜ角都ちゃんよ、と言った。ジャシンにはかなわんがな、と俺は返し、たわごと…

ピンクのでかいやつ(ss)

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盗みの仕事が入った。殺しじゃないのでテンションがだだ下がりのオレをよそに角都は一人で買い物へ出かけ、必要な道具を買ってきた。それは小さな布張りの箱に入っていた。ガラス窓を切って侵入するためのダイヤだ、怪しまれないよう指輪の形にしたが細くて…

人を呪わば穴二つ(ss)

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いつかは角都を抱く。変わらぬ野心を持つ飛段は今日も相棒に挑むが、結局は太いさかとげで自分の尻をかき回されてしまう。くそ、てめーぜってー呪う、ぜってー呪ってやる。好きにしろ、と返した角都はミミズのような触手を飛段の尿道に侵入させ、とうとう相…

だれが、なにを(ss)

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完全に目が覚める寸前、ほわほわとした夢の中でオレは誰かにキスをした。いつもの噛んだりなめたりぶつけたりするようなやつじゃなく、あったかくて柔らかいものにつけて離すだけのキスだ。夢の中なのに白くて眩しくて相手が見えなかった。起きてからも幸せ…

ロボよ(ss)

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古本屋から角都が出てこない。待ちくたびれたオレは店頭のワゴンに積んであるガキ用の本をめくってみた。動物の絵がたくさん載っている。オオカミの話を読むうち、オレはとてもそのオオカミに共感し、泣きそうになった。いくら我慢しても涙と洟がじわじわわ…

引き留めるもの(ss)

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なかなか寝つけず捻転していた夜、浅い眠りの中で妙な夢を見た。俺は緑灰色に透けた床の上に立っていた。天井もガラスのように透けている。壁はない。床と天井がどこまでも続き、果ては緑色のくらがりに消えている。ぐるりと見回しても同じ光景。ぼんやりと…

酷寒の朝(ss)

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立ち食いそばが出てくるのを待ちながら、飛段が、ゆうべ行った武器屋のおやじがオメーのこと褒めてたぜ、と言う。薬売りのヤローもこないだオメーのこと褒めてたっけ、奴ら見る目ねーよなァホント。もうもうと湯気を上げるどんぶりが飛段の前に、次いで角都…

換金所の女子職員(ss)

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※第三者視点です。 今日来たお客がもろ好みだった。それなりに経験はあるけどこんな直球ど真ん中は初めてだしこれからもないんじゃないだろうか。まじでやばい。覆面とフードのすきまから見える目元のしわが格好いい。声も。立ち方も。頭の大きさまで。私は…

もうすぐ新年9・ション14(ss)

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飛段が貧乏ゆすりをしている。安宿の座椅子がギチギチと耳ざわりな音を立てる。うるさい、と角都が唸ると、もうあと少しなんだから邪魔すんな、と言い返してくる。ハァ?見りゃわかんだろ小便我慢する修行してんだよ、いつでも行ける今みてーなときに練習し…

たそがれ時(ss)

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強殺を見た。角都は犯人をとらえ、奪った金品を奪い返した。逃げる犯人は放っておいた。金にならない以上どうでもいいことだ。飛段は被害者のそばに膝をついた。初老の男の前頭部から刃物の柄が突き出し、後頭部から刃先が出ている。致命傷なのだが男の意識…

理想の姿(ss)

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角都を抱きたいあまり、飛段は分身を作り角都の姿に変化させる。このようなことは妄想でとどめておくべきなのはわかっていたが我慢できないのだからしかたがない。ところが分身の化け方がイマイチである。背丈や腰回り、肌の色などを微調整してみてもしっく…

くそったれ(ss)

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移動の最中、腹具合がおかしくなってきた。我慢しているとマシになるが、またギュルギュルとぶり返す。その間隔がどんどん狭くなり、今のオレはかなり危機的な状況にある。あたりは真昼の住宅街、コンビニもない。冷や汗と脂汗を流しながら視線をあちこちに…

明日からまた野宿するぞ♪(ss)

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古書屋で成人向けの雑誌を立ち読みしていた飛段が、あー、と間抜けな声を出す。角都ゥ、そういやおめーオレからのハガキ受け取ったか。何のことか理解できない角都が辛抱強く問いただし、ようやく得た概要は次のとおりであった。八月の半ばに一人で仕事に出…

爆発しろ(ss)

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昔からの知人に誘われて角都は飲みに行く。高齢者とは言え男ばかりが集まれば猥談に花が咲く。ある者は大名の護衛の任務中にその妻と関係を持った話をする。呼ばれて部屋へ行くと長椅子に女が寝てて、それが大名のかみさんでよ、部屋に蚊がいるから殺してく…

悪人ども(ss)

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久しぶりに立ち寄った換金所の主がいつの間にか妻帯していた。それを礼儀と勘違いしている飛段が二人を冷やかしたが、女は無表情のまま死体の引取り書を作り、何も言わずに部屋を出て行った。借金のカタにもらってやったのさ、と主が言う。飽きたら売り飛ば…

センチメンタリズム(ss)

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角都はその男といくどかやりあったことがあった。腕の立つ忍びだったのだが、今日はあまり手ごたえがない。こいつも老いたな、と自分のことを棚に上げて角都は考える。硬化したこぶしで腹を打ち抜かれた男は地面に膝をつき、体の前面の穴を片手で押さえ、ア…

目は心の窓(ss)

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飲み屋のテーブルで角都が読んでいる雑誌の裏表紙が、はだかの女の写真だった。たいしたこともないが、はだかははだかだ。何の気なしに飛段はそれを眺めていた。そのうち角都が雑誌を持ち直すと、親指が女の股を押さえ、そのままそこに留まった。飛段はその…

結局は幸せ(ss)

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仕留めたばかりの賞金首の名前を角都は思い出せない。賞金の額は覚えているのに。しかたなく手元にあるビンゴブックをめくって探す。待ちくたびれた飛段も手伝う。ようやく探し当てたページを折り曲げて印をつけている角都に、おめぇボケたんじゃね、と飛段…

心配していた俺の時間を返せ(ss)

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その日の飛段は戦闘相手への攻撃を何度も外し、角都から大目玉をくらったが、怒られている最中にもぼんやりするなどどうも様子がおかしかった。街中で買い求めた肉の串焼きを飛段が残したことで角都は初めて不安になり、まだ日が沈まぬうちに宿を取って休息…

寒さ(ss)

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低い雲からときおり雨がぽつりぽつりと落ちてくる。さほどではないが風もある。地平線に黒々と貼りついた森まで枯れた芦原が広がる。見えるものはすべて灰色の濃淡で、隣の相棒が背負う赤い鎌すら黒ずんで見える。その相棒が何か言った。こないだここでしん…

特にすることがない日(ss)

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ちょっと考えてみろよ、例えばオレにねーちゃんがいて、オメェがそれとつきあってるわけ。そんでねーちゃんがオメェをうちに連れてくるんだな、親に会わせに。そこにオレもいんだよ。で、オレがオメェを気に入っちゃってオメェもまんざらでもなくて、でもね…

それでも結んでやる(ss)

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飛段を指名しての護衛の依頼が入った。女の政治家だから見栄えを気にしたのだろう。自身は働くことなく報酬とは別に支度金まで得た角都は上機嫌で、依頼主の注文通りの装束を飛段に買い与えた。シャツ、スーツ、ベルト、靴下、靴、武器用のホルスターは問題…

意地(ss)

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角都がバイトを引き受けてきた。どこぞの里の抜け忍グループを始末すると大金が入るのだという。カネのための殺しなんて鎌が汚れらァと言ったら手助けなど不要と返された。やれることをやるだけだ。そう言って普通に出かけていく。小言を言う奴がいなくなっ…

おめでたい新年(ss)

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高額の仕事を請け負いに行き、そのまま依頼主の新年会へ招かれた。二日後には殺される予定の者たちが礼儀正しく話しかけてくる。誰も大声など出さず、下品なことも言わず、言葉の裏に棘をひそませ、わかりにくく自慢をし、こちらの身分や懐具合を言葉巧みに…

運送3・新年8(暁カンパニー)(ss)

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支社ではいっときの喧騒がおさまり、工場はいつもの音を立てて稼働している。荷降ろし場に斜めに停められたトラクターの運転席にはスーツの腕をまくった角都、助手席には防寒着にくるまり鼻先と頬をしもやけで赤くした飛段が死んだように座り込んでいる。ほ…

運送2(暁カンパニー)(ss)

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出発して六時間後、誰かほかの者を連れてくるべきだったと角都はほぞを噛んでいる。混雑はしかたがない、年末なのだから。だがしょっちゅう喉が渇いただのションベンしたいだのと隣で騒がれるのは癇に障る。小南なら完璧なリードをしたろうし、キョウヤかギ…

運送(暁カンパニー)(ss)

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いつもお世話になっております。さんぽやです。 今年も怠けに怠け、ろくすっぽ更新もしませんで、どうも失礼しております。 来年もダメな感じになると思いますが、お暇つぶしにでもお立ち寄りいただければ幸いに存じます。 今日も中途半端なものをちょっと書…