ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

悔いを刻む(ss)

ss

事前に得ていた情報通り、その男はにわかには信じがたいような大きさのダイヤモンドを体内に埋め込んでいた。まだ新しい縫い目からダイヤをほじくり出した角都はその大きさと輝きに魅せられた。所有者がすぐに死ぬという言い伝えも故のないことではないだろ…

雑記(memo)

3/30にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。

身を滅ぼす欲(ss)

ss

賞金首を取り逃がしたことについて、遊び半分の戦い方を強く咎める俺に対し、飛段は俺の金銭に対する執着が逆に損を招いたのだと嘲笑した。立腹した俺は飛段の顔をわしづかみにして口をふさぐとそのまま宙吊りにし、服を剥ぎ、痛めつけた。怒りと興奮に激す…

雑記(memo)

3/29にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。

空回りの役回り(Crane)

携帯小説サイト「千魔万雷」(http://id30.fm-p.jp/16/dt0vwwwwd/)のアズマ様から、すてきなお話をいただきました。 アズマ様は、軽妙で華麗かつ諧謔味にあふれ、しかも読みやすいという実に羨ましい文体をお持ちです。質の良い落語のようです。角飛の他の…

換金できないもの(ss)

ss

新聞に頭をつっこんでいる角都と飛段が交わした会話は、かいつまんで言えば以下の内容だった。�@なぜ角都は新聞の経済欄を毎日飽きずに読むのか。⇒儲ける機を逸しないためである。株価や為替レートの情報ほどスリリングな読み物はあまりない。�Aカブカとはな…

雑記(memo)

3/27にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。

乙女かオレは(ss)

ss

なんつーか角都はいつも同じなんだ。格好もそうだし立ち方も話し方もいつも同じ。太ったり痩せたりもしないしジジイのくせに白髪もシワも増えないし、だからオレは角都を不変のものと思って安心していたのだった。今日、オレたちは自分の胃液を武器として使…

雑記(memo)

3/26にコメントを下さった方へ。ありがとうございました!

花落(ss)

ss

道中、桜の名所である山を抜けようとしたところ、どこかの大名の護衛に通行を拒否された。護衛の間から窺うと、その大名一族が公共財産を私物化し、華麗かつ文化的に花見をしているさまが遠く見えた。黙って立っていると、隣の相棒がああーつまんねーなぁと…

風雨(ss)

ss

飛段は壁に寄りかかり、宿代を値切ろうとする角都を見ていた。飛段は泊まりたい。外はひどい降りようで、玄関の引戸が風にあおられてガタガタ鳴っている。今から野営地を見つけるには遅く、ここを断られたらそのあたりの木の下で夜を過ごすことになりそうだ…

啼鳥(ss)

ss

飛段が相手をしとめた。なかなかの使い手で、長じれば良い賞金首になったかもしれないが、その可能性は今日で絶たれてしまった。術の応酬による混乱がおさまった今、飛段と相手は似たような恰好で新鮮な血を垂れ流して横たわっていた。生き物の生息には不向…

春眠(ss)

ss

何かが寝ているオレの頭に軽くふれた。はじめは風に吹かれた草かと思ったけど違うような気もした。長い足でふらふら歩く虫かもしれない。春の野で寝ていれば良くあることだ。虫の奴らが襟から入りこまないよう寝返りをうったオレは、不自然に変化した風向き…

雑記・追加(memo)

3/22にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。

自尊心など犬に喰われろ(ss)

ss

そうだ記憶が遡れないほどずっとずっと昔から俺はすべてが破壊されればいいと願い続けて生きてきたのだ、しかし広く散らばった世界は俺の手に収まるものではなく象徴としての金をいくら集め異形の腕を伸ばしてみたところで俺は世界にかすり傷を負わせること…

雑記(memo)

3/21にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。

ション2(ss)

ss

「記憶される骨格」「肉の花」の続きです。下ネタです。ご注意ください。 確かに水が足りなかったらションベンかけてやるって言ったのはオレだけど、でもありゃ冗談だ。当然だろう。なのに角都はまるでオレがわがまま言ってるみたいな目を向けてくる。ション…

肉の花(ss)

ss

「記憶される骨格」の続きです。 不死の余裕か飛段は自分の体に無頓着で、そのことに俺は性懲りもなく苛立った。バカが、と罵ってみても無くなってしまったものは仕方がない、しかし人ひとりの目を洗うのに水を全部使ってしまうとはなんという無策だろう。水…

記憶される骨格(ss)

ss

水筒あったぜ。こーゆー連隊の奴らの水筒ってみんな同じ形なのな。あーもひとつあった、こんだけありゃ足りんじゃねぇか。足りなかったらオレのションベンかけてやるから心配すんなって、へっへっ。いいよそこにいろよ、おめーも目ェやられてんだろ、オレが…

蝿(ss)

ss

山越えの峠に、やや干からび始めている二つの骸があった。離れたところからも異音が聞き取れるほどに蝿がたかっていた。喉元一直線の傷は、腕とクナイを足した長さより短い距離を隔てて敵と対峙した証だろう。その相手も側頭部にクナイを突き立てられてじっ…

春雨(ss)

ss

ずたずたになったコートを角都は捨てた。雨は戦闘後の興奮をなだめてくれたし、ズボンと頭巾は無事だったので、角都としては特に衣服に気を使うことはなく、それは帰路の街を通過する際にも変わらなかったのである。人通りの多い広場を歩いているとき、隣を…

持っているものをかきあつめて生きるのはけっこうしんどい(ss)

ss

死なないオレとなかなか死なない相棒とで追い詰めた相手は最悪だった。逃げられないとわかると、まず自分は賞金首ではないと大声で何度も叫び、次いで角都を金で釣ろうとし(金額で折り合わなかった)、一生オレたちに仕えるから殺さないでほしいと訴え、角…

雑記(memo)

3/16にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。

悪者(ss)

ss

飛段がまた妙なものを買ってきたようだった。だらしなく口元を緩ませながらコソコソと自室に入っていく。あと半時もすれば、秘伝の巻物を買ったのに術が相変わらず使えないだの死なないヒヨコだって言われたのに死んだだのと、怒ったり嘆いたりしながら出て…

組んで間もない頃(ss)

ss

場をわきまえないしつこい宗教の勧誘に嫌気がさした俺は、相手の髪をわしづかみにし、いい加減にしないと髪を全部引きむしるぞと脅した。奴はふくれっ面をして不承不承頷くと、解放された頭皮をさすりながら、せっかく誘ってやったのに、とブツブツ文句を言…

風が強かった日(ss)

ss

いきなりの突風に飛段はあおられる。強度を増す風は気体というより弾力のある固体のようだ。さすがの角都も歩きなずんでいる。雨まで降っている。濡れたコートが重く硬くはためく。経験豊富な角都は単純に天候を疎んじているが、若い飛段は興奮している。下…

休憩しましょう(ss)

ss

おめーは休みを取らなすぎるぜ、時は金なりなんてよく言うけど死なないオレたちには無限に時間があるってことを忘れていやしねーか、もっとのんびり生きたらいいのによ、どんな祭も争いもいつかは終わるし、その時に誰もいなくなっていたってオレたちはいる…

お一人様一泊一万両也(TEXT)

二人のとばっちりを受ける第三者の話。

角都中心半径1m以内(ss)

ss

角都はあまり所持品を増やさない性質で、アジトの自室には机と椅子と寝台ぐらいしか置いていない。なのに飛段はその机の角に太腿をぶつけては、そのたびにイテェイテェと騒ぐ。大げさな、と苦々しく思っていた角都だが、ぶつけた直後の太腿が血を滲ませて線…

ズボン(ss)

ss

他の何がなくともそれだけは欠かせない社会的アイテムであるズボンが見当たらない。宿を出るまで間があるとはいえ、落ち着かない角都は初めそれとなく探し、それから大っぴらに探し、しまいには相棒に疑いの目を向けた。以前こいつはぬけぬけと他人のパンツ…