ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

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逃がした魚は大きいか(parallel)

さくま様からのリク「料理」による小話です。 義理で出かけた祝儀の帰り、元オヤジの家に居候している男に偶然出会った。おれのかわいい8Cスパイダーを狭い路地に滑り込ませたとき、そこのフェンスに寄りかかって阿呆面をさらしていたのが奴だったのである…

飛段、手紙を書く(parallel)

シカマルへ 俺が寝てる間にお前が三回来たってかんごし(字がかけねー)が言ってたんで、手紙を書くことにした。もどってから話せばいいと思ったけど、いつもどれるかわかんねーし。俺が死ぬとでも思ったか?なら悪かったな、俺はちょう元気だぜ。どうにか歩…

年季明け(parallel)

最近どうしたよとシカマルに訊かれた飛段は、友人の部屋の窓際に座り込み、別にどうもしねぇと答えて膝の上のマンガ雑誌をベラベラとめくった。相変わらずダメーな感じで生きてるぜ、ゲハハ、なめんなよ、オレのダメっぷりは筋金入りだかんな。それにしちゃ…

壮大な議論(parallel)

昨夜の薄雲をまとう名月も風情があったが、満月を迎えた今夜の月は夜空の穴のようにくっきりと浮かび、模様もよく見える。照明を落とした縁側で月を愛でていると、隣に座って足をぶらつかせていた若造が、飛行機だぜ、と言った。なるほどチカチカと点滅する…

発作(parallel)

いつもの時間に起き出した飛段は台所へ行き、朝食の準備ができていない食卓に少し茫然とした後、居間へ移動して、そこで様子のおかしい同居人を発見した。角都は畳の上に散らばった新聞紙の上に伏してもがいていたのである。当初、飛段は角都が自分にはわか…

息子(parallel)

同居人の義務として飛段がいやいや庭先の掃き掃除をしていると、来客があった。足音に頭を上げた飛段が打ち水の手を止めて家主の外出を告げると、客は蠅を追うように手を振り、あー気にしないで今奈良さんのところでオヤジには会ってきたから、と言った。君…

ポイントを稼ぐ(parallel)

ぱりっと焼かれた秋刀魚を食い散らかす飛段を角都は放っておくことができない。俺たちに食われるために死んだ魚だぞ、感謝してきれいに食べろ。小言を言いつつ飛段の秋刀魚の胸びれを取って上身を取りよけ、背びれと骨を外してやる。うっせーなー腹に入りゃ…

騒ぎの顛末(parallel)

株の勉強をしろと角都が古いパソコンをくれたので、オレはそれでエロサイトを見ていたのだった。動画に変な声が混じってらと思って音量を落としても唸り声はそのままだったんで、オレは慌てた。この家にいるのはオレと角都だけなんだから唸っているのは奴な…

悪趣味な男(parallel)

仕事に出かけるたびに角都は不動産管理や株取引について飛段に説明した。飛段がそれに興味を示し、自分の片腕となることを望んだのだが、どうもそれは難しいのかもしれないと角都も認めざるを得なくなってきた。同居人としての家事分担はそれなりにこなせる…

社員(腐)の印象(parallel)

※第三者視点です。 お客様が応接室でお待ちだと聞いて、取引は不調に終わるのだな、と思いました。私は一日に数十人のお客様に応対しますが、その方のお名前が特徴的だったので、ご相談の内容までよく記憶していたのです。その方はほんの二、三日前に当社を…

転機(parallel)

角都はあまりタクシーを使わない。鉄道が整備された都会に住めば大概の移動はそれでこと足りるし、数キロの距離ならば歩けば良い。株購入の下調べに訪問した会社でタクシー券をもらわなければ、その夜も歩いて駅まで行くつもりだった。景気を尋ねる角都に初…

痕跡(parallel)

じゃあまた来るぜ、と言い置いて若造が帰っていった。見送ることなどしないが、角都の耳は若造の立てる音を無意識に追う。かしゃりとコンビニの袋を拾い上げ(最近若造は弁当を持参して昼前から夕方まで居座るようになった)、ざっざっと畳の上を歩き、みし…

とおり雨(parallel)

角都の留守中、オレがいつもみたいに畳の上で寝転がっていると、表が急に暗くなって天井の方からパタパタという音がしてきた。縁側から見上げると大粒の雨がまるで小石みたいに灰色の空から落ちてくる。地面に散らばっている枯葉が雨に打たれてシャラシャラ…

本日のトピック(parallel)

文中のペインと小南のイメージは、すてき角飛サイト「shuuura」様の拍手文を真似たものです。 暇つぶしに飛段が持ち込む雑誌には、風俗関係のものが多く紛れ込んでいる。たいそう下品なものも、ひどくマニアックなものもある。今日の飛段は縁側に寝そべって…

芋を焼く(parallel)

呼び鈴に応答がなかったのでためしに庭へ回ったシカマルは、そこで落ち葉を焚いている友人を発見した。家主ならいない、と煙にいぶされた涙目を上げて飛段が言った。どうやら留守番に使われているらしかった。 「アンタのアパート行ったら取り巻きの女の子た…

診断(parallel)

放射能にさらされるような仕事に就かれていたことはありますか。いえ、無理にお答えにならなくとも結構ですが、あなたの場合、原因疾患が特定できない限り治療は難しいと思います。ご存じでしょうが、拘束型心筋症の特効薬は今のところ開発されていないんで…

サボタージュ(parallel)

時間はまちまちだったが、飛段はそれでも平日には老人宅を覗きに行った。週末に訪れることさえあった。飛段にはつきあいを苦手とする知人がかなりおり、そのほとんどが女性だったのだが、彼らと別れる口実にバイトはもってこいだったのである。オレさ、借金…

飛段、バイトを始める(parallel)

我が魂の友さくま様よりのリクエストによる話です。第一話のお題は「ワニの涙」。 困った羽目に陥ると、飛段は母のことを考える癖があった。自分がクソ溜めに落ち込んでいるのは自分のせいで母が悪いのではない。しかし母がそもそも自分を産まなければこんな…