2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧
不死者は失神などしないものだと思っていたがな。そう角都に揶揄された飛段は、失神なんてしねーよバーカてめーがしつこいから眠くなっちまうだけだっての、と言い返しながら予想外の恥に身を焼かれる思いをした。臨戦態勢の相手の前で先に意識を失ったらそ…
5/30にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。
平日昼間だというのに成人向け映画館には複数の客がいた。換気の悪い客席で互いに距離を取って座る男たちを飛段は見渡した。激しい絡みが繰り広げられているスクリーンをよそに、客はみんな死んでいるように静かで無気力だ。あおのいて眠っている者もいる。…
5/29にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
「静かなるラジオ」「そして不在になる家で」の続きを読みたいと言ってくださった方へ。 路地からふっと現れた角都がフツーにこっちへ歩いてきて、ごく自然に、行くぞ、と言ったので、オレは一瞬ぽかんとしてしまって反応が遅れた。おい角都、どんだけ待たせ…
5/28にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
5/27にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
5/26にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
かつて逗留したことのある街を通過したとき、角都は珍しく懐古の念にとらわれた。夜の井戸を覗くようなそれは個人的なことがらであったので、角都は相棒と別れると、以前の活況が嘘のように様変わりした通りを一人で歩き、寂れた街並みの、さらにうらぶれた…
閉店して久しいらしい寂れた質屋の店先で、ここで少し待て、と言い置いていなくなった角都は丸二日たっても戻らなかった。金も与えられず、置いて行かれたその場所でしばらく待っていた飛段は、しびれをきらして街を徘徊し、それでも相棒を見つけられずに結…
5/18にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
今日の角都はいつもよりさらに意地が悪かった。向き合って跨っているオレの都合はそっちのけで、自分のやりたいようにオレを使う。初めはそれでもよかったけどだんだん辛くなってきた。あれだ、ずっとくすぐられていると気が狂いそうになるが、あれによく似…
岩場の狭い溝の底で俺を待ち構えていた相手は厄介な能力を持っていた。細胞組織の再生能力が異常に高く、攻撃をしかけてもすぐに回復して起き上がってくる。俺はまず相手の心臓を狙い、効果が薄いと知ると脳を狙ったが、致命傷を与えられないままに焦りと疲…
5/14にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
夕暮れに歓楽街を通った二人は客寄せの女や男にまとわりつかれ、特に飛段は往来のまん中で遊女たちに取り囲まれて立ち往生した。ほうほうの体で逃げ出したのちに入った茶屋で、飛段は鼻にしわを寄せ服に染みついた香りについて不満を述べ始めた。あいつら一…
5/13にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。
飛段が訪れたとき、珍しく角都は部屋の照明を落とし、ベッドのヘッドボードにもたれるようにして手元のパソコンで映画を見ている最中だった。ちらりと飛段に目を向け、億劫そうに壁際へ寄ったので、飛段もベッドへ上がりこんで一緒に映画を見始める。途中か…
「なぜオレが怒られる」の角都サイドです。読みたいと言ってくださった方に。 上機嫌に近づいてくる飛段の首筋に明らかに吸われた痕を認めた俺は、情けないことに言葉を失った。俺がいつもそうするように、飛段は賞金首を背にぶら下げていた。確かこいつの背…
5/10にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
角都の容赦なさに、飛段は舌を巻いた。大して小さくもないその村は瞬く間に炎と風に包まれ、抵抗もないまま壊滅しようとしていた。老いた女がもっと老いた男を支えて燃える家から逃げ出し、地に伏した。慈悲など望めないことを知りながら、それでもそのよう…
5/8にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
殺したばかりの相手の体からピンピンと跳ねてきた虫を飛段はつかまえ、じっと観察した。沈む船を見捨てて次の宿主を探す蚤たちだ。おいていくぞ、と唸るように言い捨てて先に行く相棒に駆け寄りながら数匹の虫をコートの襟首から落とし込んだのは、ちょっと…
5/7にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。
5/6にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
そりゃ、あそこはフツーの宿じゃなくて連れ込み宿だった、けどそんなことオレが知るわけないだろう。ガチムチ系のつるっぱげが泊ってるかどうか訊いたのに宿の兄ちゃんが教えしぶるから、オレはただそいつに呼ばれたんだけどって言ってみただけなんだ。元は…
5/3にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。
「中途半端がいちばんよくない」の続きです。裏の「奉仕、あるいは冒涜」に続きます。 5/1に「中途半端」の続きが読みたいと言ってくださった方へ。そして裏文を書く勇気を与えてくださったA様へ(笑)。 何か問題を抱えているときの交わりが、決まって充実し…
5/1にコメントを下さった方へ。ありがとうございました。