ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

喧嘩中(ss)

ss

ざう、ざうという風雨の音で飛段は目覚め、掛け布団から頭を出した。部屋の中は薄暗いが、もう早朝ではないと体内時計が告げる。いつも容赦なくたたき起こすはずの相棒は窓辺に立ち、外を眺めている。その背中を飛段は横目で睨んだ。昨夜、豪雨の中たどりつ…

雑記(memo)

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深まる誤解(ss)

ss

S級犯罪者が銭湯に行くなんて想像できるか?けれどオレたちは行った。新しく雨隠れにできた銭湯の入場券を、これまた新しくできた立ち食い蕎麦屋のオヤジが先着10人に配ったからだ。角都はまずそれを売ろうとしたがサービスチケットだから換金できないと言…

雑記(memo)

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清算取引(TEXT)

以前、SKM様から角都の推定過去について、下記のコメントをいただきました。 「戦乱の中に生まれた角都が幼少時から生きるために非行を行って捕まり、墨を入れられ奴隷として輸送中に滝隠れの忍びに襲撃を受け、滝忍Aに引き取られる。自分を救ってくれたAの…

雑記(memo)

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いただきもの・美麗絵(Crane)

「メメントモリ」のメメント様が、拙宅のss「落下」をもとに美麗絵を描いてくださいました。 ごらんのとおり、メメント様の角飛はとても繊細に美しく、ウチのなんだか生臭い二人とは雲泥の差なのですが、それはともかく(笑)嬉しい嬉しい!! メメント様、「…

思考の構造について(ss)

ss

オレはあんまり頭が切れる方じゃないけど考えごとは嫌いじゃない。むしろ好きだ。時々すっげーいいことを思いついたりもする。問題は後でそれを思い出そうとしてもうまくいかないってことなんだ。そのたびに角都みたいに記録でもつけておけばいいんだろうけ…

雑記(memo)

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雑記(memo)

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翻訳(ss)

ss

ことの後、寝そべっていた飛段が、あっそだ、と声を上げて起き上がり、床に投げ出してある自分のコートをあさり始めた。ずいぶん痛めつけたような気がしたのだが、まったく堪えていないらしいしなやかな背中に俺はひそかに嫉妬する。そんな俺の心中も知らず…

権力者(ss)

ss

遠い国の最高指導者の就任がなんでそんなに大きな話題になるんだろう。角都が読みふけっているマネーなんとかって雑誌の表紙もそいつの晴れやかな笑顔で飾られている。そんなの誰がなっても同じだろ、顔が変わるだけだろ?バカめ、と角都はそっけない。この…

夜の子どもたち(ss)

ss

やめろ飛段。 なんで? いいからよせ、そんな気にはなれん、お前もさっさと寝ろ。 ちょっとぐらいいいじゃん…。 殺すぞ。 それをオレに言うかよ、ってホントに寝んのか?つまんねー野郎だな。 飛段、いいかげんにしろ。 お、起きたあ? 眠れるか、バカ! あ…

アウトロー(ss)

ss

体制側でない者が法に背く場合、その者は社会から排斥される。世間の変わり身の早さを身をもって知っていた角都は権力に与することを徹底して嫌った。善悪など立場によって簡単に変わる。自分の行為には自分の理屈と責任が伴えばいいのであって大義名分など…

雑記(memo)

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まるで純情(ss)

ss

ただ大げさに騒いでいるだけかと思っていたが、飛段は本当に匂いが気になる性質のようで、ときどき病的な面を見せることがある。つい先ほどは、氷雨が降るからとせっかくとった宿の部屋の匂いが気に入らないらしく、鼻にしわを寄せ、開け放った窓に向けて脱…

ヒーロー(ss)

ss

今日の相手は毒煙を使う奴だった。こうなるとオレの出番だ。相手は角都をとりたかったみたいだけどその前にオレを片付けないとならなかったし、それができなかったんで今は崖の下に青むくれて転がっている。首も折れてるけど死因は毒だろう。相手が放った毒…

棲む(ss)

ss

かつて飛段は流浪の身で、程度の差こそあれ角都も似たようなものだった。暁はかなり自由な組織であり、所属したからといって無頼な生活を変える必要はなかったが、角都も飛段もときには昔の生活を懐かしむことがある。足枷のない人生は軽やかで、過去を好き…

雑記(memo)

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雑記(memo)

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だめな大人(ss)

ss

飛段は日頃べらべらとよく喋るくせに、ことの最中になると声もろくに出さなくなる。そういう性質なのだろうと納得していたので、ある野宿の朝、となりにいつもと様子が違う相棒を発見した角都はかなり驚いた。そういった夢を見ているのかフニャフニャと声を…

寒波(ss)

ss

いつものように野宿をしていた角都と飛段は、夜更け、ほぼ同時に目を覚ました。胎児のように丸くなっていた飛段が苛烈な寒気のあまりフグゥと変な声を出す。焚火は熾してあるが炎に触れるばかりに近づかないと熱が感じられない。互いに言葉を交わさないまま…

雑記(memo)

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手に残る記憶(ss)

ss

その日、飛段はまだ儀式を終えていないうちに相手が意味ありげに取り出した巻物をのこのこ覗きに行き、両腕を切り落とされた。急ぎ円陣に戻ったものの「心臓一突き」の手段がない。大した相手ではなかったので(当然懸賞金もかかっていなかった)傍観してい…

雑記(memo)

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落下(ss)

ss

とてつもない高みから相棒と共に落下する夢を見た。相棒の表情がはっきり見えないことが気になり、落下しながら腕を伸ばして引き寄せると、静かに眠っているような顔をしている。夢だからな、と俺は変に醒めた頭で納得するが、漠然とした不安が胸中にわだか…

雑記(memo)

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誰が読むわけでもないけれど(ss)

ss

「寝不足が続いたある日のセリフ」の続きです。 相棒が疲弊していることを飛段は薄々知っていた。土地に詳しい忍集団を相手に昼夜を問わぬゲリラ戦を強いられた二人は、ここ数日間ほとんど睡眠を取っていない。ときおり耐えきれなくなった飛段が落ちたが、意…

寝不足が続いたある日のセリフ(ss)

ss

印を結び終える前に一瞬意識が飛んだ。術は発動したので、体は勝手に正しく動いたらしいが、飛段がちらっと視線を寄こしたところを見るとやはり遅れ気味だったのかもしれない。角都は気合を入れ直し、手っ取り早く火遁で相手を殲滅しようとしたが、思ったよ…

荒野にて(ss)

ss

徒歩で移動をしていると、たいそう奇妙な風景に出くわすことがある。今、飛段の前にのっぺりと広がる無機的な大地はちょうど目の高さにある暗い地平線でちょん切られ、嘘のようにまっすぐなその線に沿ってやはり暗い雲がたなびいている。遠くにねじれた木が…