ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

新年6・秘密の特訓の成果(ss)



よい大人のくせに飛段がお年玉をねだってくる。あつかましい、と唸りつつ俺は用意しておいたポチ袋を取り出すが、手渡すのも面白くないのでそれをぽいと奴の足元へ放り出す。嬉しそうに拾い上げながら飛段が、てめーノーコンだなー、と笑う。なんだと。へたくそだっつってんだよ。なんだと。これっぽっちの距離も満足に飛ばせねーんだろ、年寄りだからしゃーねーけどさ。なんだと、とそのやり取りを存分に楽しんでから俺はおまけの五十両玉を爪で弾き飛ばす。初日を受けてきらきらと輝く貨幣はきれいな放物線を描いて飛段の鎌の柄に当たると、襟元から飛び込んで袖を通り、相手の手のひらに滑り込む。おーと素直に驚く飛段。冷笑しつつ俺は内心ガッツポーズをする。よし、今年も悪くない滑り出しだ。