ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

おとり(ss)



角都が女を買いに行っているちょうどそのときに、オレたちがずっと探していた賞金首が現れた。一人でやり合うなんて考えていなかったオレは苦戦した。正直賞金なんかはどうでもいいんだから逃げりゃよかったんだがそれも面白くないし、ここでオレがいいところを見せれば角都が女を買いに行ったことを後悔するんじゃないかなんて余計なことを考えてしまったのだ。オレはそいつの血をとろうとしたが、鎌で切り裂いたそいつの腕からはさらさらと砂が流れてすぐに止まった。オレと同じで首でも刎ねないとだめらしい。武器を振り回すため、ねぐらにしていたボロ屋を飛び出し暗がりの中で戦ったが、技でもスピードでも相手に分があり、オレはうっかり片脚を落とされた。闇に隠れ、相手の気配を探って何とかしようと這いずり回っていたら、なぜかはやばやと帰ってきた角都が参戦、最後には砂まじりの風遁で相手をずたずたにした。助けられたのはありがたいが、つい一時間ぐらい前には顔も見たくねえと思った相手だ。やけに帰りが早いんじゃねーの、女に振られでもしたのかよ。貴様と一緒にするな、気に入った女がいなかっただけだ。言葉は相変わらず刺々しいし声も不愛想だ。けど抱いてくる腕がいつもより優しくて、オレが抱き返すとさらに強く締めつけてきたので、ちょっと幸せ。