ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

見捨てない(ss)



道端でションベンしていたらひょろりとした野郎が寄ってきてクスリ買わないかと言った。なにやったことねえってマジで、兄さん人生損してるぜ、気の毒だから特別に安く分けてやるよ、ちょっとこっちへ来な。相棒を待つのに飽きていたオレはそいつについて行き、色とりどりの錠剤を見せてもらっていたら、突然そいつが走っていなくなった。振り向いたら相棒がまっすぐこっちへ向かって来るところだ。オレでも逃げたくなるほどおっそろしい顔をしていた。相棒はオレの脳天にげんこつを落とし、貴様もっと馬鹿になりたいらしいな、とうなった。うるせーな今どきクスリなんかガキでもやってるっつーの、オレがオレの金で何しようとてめーにゃ関係ねーだろ。こう言い返す十秒ほどの間に奴のげんこつがさらに数回落ちてきた。反撃を試みるがオレの突きや蹴りは簡単にブロックされ、奴の拳はきっちりとオレの脳天に降ってくる。たまらず頭を抱えてしゃがみこむと、奴はフンと言って殴るのをやめ、また馬鹿なことをしでかしてみろ、この倍は殴ってやるぞ、と言った。鼻息の荒さからしてどうやら本気のようだった。