ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

かくれみの(TEXT)

怒ったり怒られたり。
書きっぱなしなので後で直すかもしれません;


 角都はたいがい無表情に見える。露出が少ない顔から表情が読み取りにくいだけではなく、体全体の雰囲気が「無表情」なのだ。喜怒哀楽がわかりづらい。だからたまにあからさまな感情を向けられたりすると、おおオレって角都の特別ゥ!と喜んでしまう飛段だが、向けられる感情の大半は怒りという形であらわれるのだった。


「もう一度聞く。俺はここを離れる時、肉を火にかけていった。お前に見張りを頼んだな。それが、なぜ無くなっているんだ」
「ちゃあんと見てたって。火が足んねえと思ったからマキ足したらさぁ、なんか火のヤローがすげー強くなりやがって、オレ肉を助けようとしたけどなんかもうボウボウ燃えてて、オレの腕は肉と一緒に焼けちまうし、なあオレってマジかわいそうだと思わねぇ?」
「あばらの肉はうまかったか、飛段」
「…疑うのかよォ角都ゥ!とんだ言いがかりだぜ!おい、おいおいそれ危ねえって、火傷すっぞ、マジ熱いからやめ、ほらオレの腕もう焼けて、うあ、わーった!肉食ったよ食いました!だから…ウヤァアアチチチチチ!」


「めんどくせえツラすんなよ、やっちまったものはしょーがねーだろォ」
「…修復できるかもしれん」
「よせよォそれこそめんどくせえ。こーんなカケラになっちまってるじゃねーか。諦めろってぇ」
「2千万両が道に散らばっていたらお前だって拾うだろう…くそ、こいつが賞金首だとなぜ気づかなかったんだ…」
「だからァ、つながったってそんなハンバーグのできそこないみたいなやつ換金できねえって角都ゥ」
「うるさい、黙れ」
「八つ当たりすんなよ、やったのテメーだろォ?おい、いてーよいてーって!あっコラ腕っ!もげっ!」


(新聞を眺めながら)「角都ゥ、りすとらってなんだァ?」
「…栗鼠と虎のことだ」(帳簿の検算中)
「ふーん…とらうまって?」
「…虎と馬だ」(帳簿の検算中)
「すとれすはァ?」
「…プロレスの仲間だろう」(帳簿の検算中)
「ぽーとふぉりおってのは?」
「投資家が持っている有価証券など資産内容の、いわば一覧表のことだ」(帳簿の検算中)
「ゆびきたすって?」
「…湯引きしたタスだ」(検算をやめて、まじめな顔の飛段を見、とりあえず殴っておく)
「………ってぇ!なんだよォ!」


「珍しくおとなしいな。どうした、腹でも減ったか」
「角都、オレ、詩ィ作った」
「では火をおこすか」
「おい聞けよ!テメーに作ってやったんだぞ!」
「…手短に頼む」
「よし。
 
  めずらしくもないが
  角都に怒られた
  ごまかそうとしたら
  もっと怒った
  角都はほんとに怒りっぽい
  でも角都に怒られるとオレは満足する
  自分じゃない何かを手にしたと
  かんちがいするほどに

どーよ、なかなかだろォ?」
「……」
「あれ、怒んねーの?」


 角都には角都の言い分がある。やみくもに怒るわけではない。しかしそのことも、怒りでカモフラージュしている他の感情についても、飛段には秘密にしておくつもりである。