ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

だめな大人(ss)



飛段は日頃べらべらとよく喋るくせに、ことの最中になると声もろくに出さなくなる。そういう性質なのだろうと納得していたので、ある野宿の朝、となりにいつもと様子が違う相棒を発見した角都はかなり驚いた。そういった夢を見ているのかフニャフニャと声を漏らす飛段の、だらしなく弛んだ腿の間が反応している。角都が軽い気持ちでそこを撫で上げると、飛段は首を横にくにゃりと曲げて、あ、ひゃん、と言った。熱いものに触れたかのように手を引いた角都はあたりを見回し、もう一度、今度は恐る恐るそこに指を這わせた。これはいけない、と角都の良識が訴える。したいのなら起こしてするべきだと。けれども角都の指は眠気を誘うようにゆるやかに円を描くだけだ。相棒を起こす気はないらしい。意識のない飛段が再び声を上げる。こうして角都の秘密がまたひとつ積み上がっていく。