ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ちりちりじんじん(ss)

我が魂の友、さくま様からのリク1「日焼け跡」の小話です。



暁のコートから土地の衣装に着替えた相棒は好んで肌を太陽にさらした。いかにも経験の浅い愚かな若造がやりそうなことだ。当初注意をしていた俺も次第に呆れて口を出すことをやめてしまった。あらわにされた肌は陽に焙られて赤くなり、ひどい時には火ぶくれとなるのだった。仕事でこの土地に来てから半月、飛段はほぼ毎日首や肩に火傷を負い、翌朝回復した肌をまた焦げつかせるという不毛な行為を繰り返している。奴自身は平気なようだが、どうにも痛々しく、行為も自然に間遠になってきたころ、使用中のシャワールームに全裸の相棒が侵入してきた。さすがにぎょっとする俺を無遠慮に眺め、あーあーやっぱ違うなー、と頓狂な声を上げる。おめーの色、ミルクコーヒーをちょっと焦がしたみたいでさァ、なんかうまそうに見えるんだよ、毎日焼けば似てくるかと思ったんだけどなぁ。相棒がそんなことを言いつつ赤く白い体を寄せてくるので、俺はシャワーを水に変えて余計な熱を逃がそうとした。それでも舌に触れる肌の熱さは驚くほどだ。男二人には狭すぎる小部屋で冷たい水に打たれながら気持ちよさそうな顔をしていた男が、焼けた肌と同色の目でこちらを流し見て舌なめずりをする。なあ、おめーホントうまそうだぜ、ちょっとオレにも味見させろよ。水のシャワーはなぜか熱を冷ますことなく、逆に俺たちの中に閉じ込めて増幅させる。焼け石に水、とはこういうことか。