ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

くさった聖性(ss)



相棒が長々と金を勘定している間、飛段はそこの手下としゃべっていた。何を話していたかも覚えていない、待っている間の時間をつぶしていただけなのだから。なのに、はしたない奴だ、と角都は飛段を叱る。あいつはお前の体から目を離せない様子だったぞ、服をこんなにはだけて、自分がどんなにいやらしい男か誇示するのが楽しいらしいな、お前は。相棒を引きずりこんだ廃屋の中で角都はマスクを外しており、飛段の耳にかかる息が、その低い、のろのろとした言葉をいっそう淫猥なものにする。いやらしいのはテメーの方だろ、だいたいヤローの上半身が見えたからどうだってんだ。正当な意見を述べたためにポルノ映画のポスターがべたべた貼られたコンクリートの壁面に叩きつけられた飛段は、前をとめたままのコートの襟をバナナの皮をむくように引き下げられ、腕を拘束されると同時に胸から上をむき出しにされた。主に屈辱感から暴れる相手の胴を腕ごと、まるで大きな花束のように抱きしめた角都は、仰け反る飛段の胸で天を向く乳首に口をつける。飛段は吠えて身をよじったが、乳首は変わらず角都の前に並んでおり、執拗に吸われては赤く熟れていくのだった。やがて、前歯でブツリと小さな実を摘み取った角都は、一瞬息をつめた飛段を更にきつく抱き、もう一つの実も収穫すると、舌に載せた肉の粒を相手に見せつけてからゆっくりと飲み下した。桜桃か柘榴のようだ、どちらにしても時期外れだが悪くはない。舌舐めずる角都を興奮と嫌悪の目で凝視していた飛段は、胸の傷口を無造作に引っ掻かれ、声にならない息を漏らす。そこにまぎれもない官能を嗅いだ角都は相棒のズボンを片手でずり下げ、相手を宙に浮かせたまま無茶な行為を始める。乱暴に扱われるほどに恍惚を深める飛段は本当にいやらしい生き物だ、まあ俺には負けるがな。暗い快楽に歪む己の顔に奇妙な慈しみがあらわれていることには気づかないまま、角都はそんなことを考えている。



※さくま様からのリク「時期外れ」