ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

一般名詞・代名詞・固有名詞(ss)



湯忍仲間と天然温泉露天風呂へ行くオレに、角都がいろいろ言う。お前は忘れっぽいから無くして困るものを持って行くなよ、酒も調子に乗ってガブガブ飲むな、湯の中では酔いが早いからな、コートは大丈夫だろうがタオルや下着には名前を書いておけ、他人の物と間違えないように…。こいつはいつも口うるさい。聞き流していたけれど、マジックを持ってきてやいのやいの言うから、オレはパンツに名前を書いたのだ。そしたらなぜか角都が騒ぎだした。馬鹿者、パンツにパンツと書く奴がいるか。だってテメーが名前書けって言ったんじゃん。そのものの名前じゃない、誰のものかを書くんだ。しょうがないからオレは「パンツ」の前に「オレの」って書いた。そしたらまた角都が違う!と吠える。なんなんだよ一体、ちゃんと誰の何かってのを書いたじゃねーかとわめき返すと、角都はオレの腕をつかんで袖をまくりあげ、取り上げたマジックで「角都」と書いた。いいか、お前が俺のものだと仮定してみろ、お前は飛段だがその持ち主は俺だ、だからこうして俺の名をお前に書く、お前が俺のものだと他人にわかるようにだ、わかったか。ややこしい話だが面倒くさいのでオレは頷いておいた。けど出かけた先でオレの腕を見た仲間が、角都って何だ、と訊くからオレの持ち主と答えたら、ひょー、と変な声でからかわれた。不愉快だ。角都にもオレの名前を書いて仕返しをしなければならない。大体パンツに名前なんかフツー書かないよな!だって色も柄もみんな違うし!やっぱりバカは角都の方なんだ、間違いねーぜ。