ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

シュバッ!(ss)

こあん様からのリク「落し物」による小話です。せっかく2月なのであのイベントにかけて。こあん様、いつもすてきなリクをありがとうございます!




繁華街を通った時のことだ。この真冬にすっごい短いスカートをはいた女の子たちが盆に載せた何かを配っていた。新作キャンペーン中ですゥ、とオレのところにまで一人駆け寄ってくる。これ、袋に好きな人の名前を書いて召しあがると両想いになれちゃうってチョコなんですよォ、生クリームをたっぷり使ってるのでェお手々に持っただけでとけちゃうんですねェ、それでェピンクのオブラートで作った袋に入れてあるんですけどォ。もらったチョコをオレはさっそくパクリと食べた。袋がちょっと邪魔だけど、噛んでしまえばどうってことないただのチョコだ。女の子の顔をじっと見てうめぇとほめてやると、女の子は嬉しそうな顔をしてそのチョコをいくつもくれた。デパートの試食のおばちゃんとおんなじだ。隣でいかにも興味なさそうなツラをしている相棒にも菓子をわけてやると、相棒は、まったく商売人は下らんことを考えるな、と言いながらもチョコを受け取り、こちらに半分背を向けて何かごそごそやり始めた。何やってんだよ、と手元を覗くと、ぎょっとしたように持っていた菓子を一気に頬張ろうとする。中途半端に下げられたマスクからぽろりと落ちた菓子がひとつオレの足元に転がってきたので、拾ってやろうとしたら、角都の奴、突然腕をシュバッと伸ばして菓子をものすごい勢いで拾い上げ、同じぐらいのスピードでそれを口に放り込んだ。そうして、驚き呆れているオレに向かって、三秒ルールだ、などと訊きもしないことを説明する。確かに落ちて砂まみれになったものを口に入れることも感心しないけど、オレはそんなことにびっくりしたんじゃない。こんな人がウジャウジャいる中で術を使うなんてどうかしている、しかもチョコひとつ拾うために!そんなにテメーが食い意地張ってるとは知らなかったぜ!