ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

虚勢を張る(ss)

さくま様からのリク「カモフラ」による小話です。言葉の裏に隠れようとする角飛を書きたかったんですが、ん?な出来ですみませんm(__)mさくま様、リクエストを本当にありがとうございました。




追い詰めた相手を鎌で切り殺すと飛段は相棒のもとに急ぎ戻った。地面に両膝と片手をついた角都はマスクを外して黒いものを吐いている。五つの心臓が一気に止まるなんてことはあるんだろうかと飛段は考えてぞっとするが、気持ちとは裏腹に口から出るのはいつもの憎まれ口である。毒霧を食らうなんてダッセーなあオイ、なんだぁそのザマ。言葉が終わらないうちに角都が、がはっ、と音を立てて大きな血の塊を吐きだす。すぐに毒舌が返ってくるものと期待していた飛段はとたんにおろおろとし、自分も地に膝をついてコート越しに相棒の背をさする。馴染みの四つのでっぱりを大事に何度もなぞりながら、飛段はそれでも必死に軽口を叩く。おいおいまさかホントにくたばるんじゃねーだろうなぁ、面倒はごめんだぜクソジジイ。鼻腔からも黒い血を垂らした角都は俯いたまま歯を食いしばる。薬品で焼けただれた内臓が体内で悲鳴を上げるが、それを表に出すわけにはいかない。目の横すぐに寄せられた相棒の顔がひどく不安そうに歪み、鼻先と目が赤くなっているのを見るにつけても。新しくこみ上げてきた血を吐き捨てた角都は、うるさい、飛段、殺すぞ、と息だけの声を絞り出す。殺せるものなら殺してほしーよ、と呻く相棒と自分の命との厳然たる違いを思いつめながら。