ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

やはり本物はいい(ss)



互いの単身の任務から戻って久しぶりに飛段と相対した角都はむっつりと黙ったままで、いっそ不機嫌にすら見えた。飛段は気にしない。離れている間に自分が見聞きしたこと、考えたこと、浮かんだアイデアなどを一方的にしゃべり、話すことがなくなるとたわいのない質問を始める。角都が答えず黙っていても臆せずに次の話題を持ち出し、沈黙を続ける相棒の顔を飽かずに眺める。傍から見るとまるで噛み合わない二人だが、ああコイツやっぱいいよなあ!と飛段はうっとりしている。頭ん中でぐるぐる考えていたよりもずっといい!そうだ角都ってこうだったよなあ!ここしばらく脳内でさんざんに凌辱してきた相手を目の前にして今さら気が引けている角都も、奇しくも同じことを考えている。百戦錬磨の武人が今は空気を伝ってくるほのかな体温に夢中だ。が、それを表に出すわけにはいかないので、ますます無表情に磨きがかかる。会ったら問答無用で抱いて舐めて吸って噛んで入れて出すつもりだったのだが予定は未定というやつである。触れるも触れなくもよし。そこにいればそれでよし。