ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

玲瓏たり掌中の珠(ss)

「おいもたいたん。」さくま様の角飛ラフ画を見て、どうしようもなくなって書いた小話です。ウチの汗臭い二人と違って、さくま様の絵は本当に理想の角飛なのですが…。組み敷かれている飛段が角都の保護者に見える、すばらしい絵です。さくま様、勝手にイメージをお借りしました。失礼しましたm(__)m



安宿の中、汗を流したばかりの体は既に新しい汗にまみれ、俺は横になるのも嫌になって粗末な敷布団の上に座り込む。開け放した窓からはぬるい微風とけばけばしいネオンの光が入り込む。どちらも暑苦しい。小さな部屋のこと、畳一畳隔てたところにこれまた汗だらけの相棒が真っ裸で横たわっている。幅の狭い敷布団の上で仰向けになり股を開き腕も投げ出して。よくもこの酷暑の中で眠れるものだ。静かに呼吸するその体からつるつると汗が流れ落ち、うすっぺらい敷布に染みができている。あの敷布はさぞかししょっぱいことだろうと俺は考え、湧いてきた唾を飲み込む。俺は相棒にそろそろと這い寄り、相手がよく眠っているのを確かめてから、胸の上に浮いている汗を舐めてみる。悪くない。味を見るだけのはずが、ついつい後を引く。邪魔に垂れ下がる浴衣を脱ぐと、俺は相棒の上に四つん這いになり、本格的に塩分の摂取を始める。へそ、腹、胸、腋下、首。そうしているうちに相棒の太腿が俺の腰を挟み、頭上から、このクソ暑いのに元気だなあテメー、と笑みまじりの声が降ってくる。俺はわずかにひいやりとしている相棒の尻をつかむ。相棒は間違えている。暑さの不快は変わらないし、俺は相変わらず疲弊している。だからこうして佳きものにすがりつき、厳しい環境の中をどうにか生きながらえようとするのである。