ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

責任は押しつけ、おいしいところは総取り(ss)



面に出さないながらも内心じりじりと焦っていた角都は、静かに開けられた扉の隙間から控えめに中を窺う相棒を認め、商談相手に断りを入れると席を立った。廊下に出るなり早くデータをよこせと押し殺した声で急かす角都に、や、それがよ、ちょっと、と飛段が口ごもって頭を掻く。なに、受け取ってこなかったのか?!角都の剣幕に飛段はへどもどしながらそれでも一所懸命に答えようとする。受け取ったよ持ってきたってェすぐに出せねぇだけだっての、いや、オレ途中でポテチ買ってさ袋開けるときに邪魔なんであれを一回口にくわえたんだよ、ちっこいカプセルみたいのに入ってて濡れても大丈夫みたいだったから、そしたらうっかり、ホントにうっかり飲み込んじゃってさ、だからここにはあるんだぜオレん中に、ただ、今すぐ出せって言われてもなぁ。へへ、と曖昧に笑ってごまかそうとした飛段は、心配するな、と相棒が言ったその声の調子に不穏なものを感じて後ずさったが、遅かった。そのままトイレに飛段を引きずりこんだ角都はほどなくカプセルを手に意気揚々と部屋に戻り、暗号を解読していたので長くかかったのだ、とまことしやかに言い訳をして商談に戻った。一方、上からも下からも侵入してきた触手で臓器の細部まで探られた飛段は、鍵のかかった個室内で便座に座りこんでいた。肩で息をし、体内の異物を排泄しようと力んでいる。角都が残していった触手の切れ端がトカゲの尻尾のようにはねまわりながら、ポチョン、と水に落ちていく。早く外へ出ていきたいがこんな状態では立つこともままならず、飛段は歯を食いしばる。切れ端はあといくつ残っているのだろう、十か?二十か?刺激に耐えて孤軍奮闘していた飛段はじきに戻ってきた角都につかまり、すっかり柔らかくなった体内を相手の意のままに耕され、それまで我慢していた分激しく反応してしまう。切れ切れの罵倒を聞きながら角都は涼しい顔で腰を揺する。てめ、調子に乗ってんじゃねーぞ。フン、元はと言えば誰のせいだ。しょーがねーだろポテチの袋がよォと言いかけていた飛段は、買い食いはだめだと言ったろうと耳元で叱られると、とたんにアッアッと声を上げて身をよじり壁を汚す。角都は上機嫌である。当初はどうなることかと思った今日の取引は結果的に大きな利益を生み、思いがけないお楽しみまでついてきた。しかも悪いところはすべて飛段のせい、手柄は自分のものにできるのだから、言うことなしだ。