ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

存在するものすべてが媒介(ss)

角飛の宝箱のようなすてきサイト「immortality」きた様の記事に刺激されて、角都の自/慰/話を書いてみました。きた様、いつも楽しいイメージをありがとうございます^^



飛段が角都の右側を歩いているとき、二人はだいたい一、二メートルほど離れている。戦うときその距離は定まらず、単独任務の際にははかり知れないほどの遠さとなる。しかし対象となる相手がいなければそもそも距離は生じない。相棒の不在に無聊をふくらませていた角都はふとそのことに思い当たり、椅子から立ち上がってアジトの上階へ移動し、露台へ出る。夕暮れの空に蝙蝠が舞う。神経のようにぐちゃぐちゃと絡み合って伸びていく電線、野良犬が足早に行き過ぎる路地。これらの延長に飛段がいるのだ。野営の準備をしているころかもしれない。汗になったコートを干してしょっぱい体をぼりぼり掻いている相棒を思い浮かべ、角都は藍と橙が層をなす空に向けて一物をこすりあげ、放つ。足元から強く吹き上げる風が、放ったものを巻き上げる。飛段がこの世に存在する以上あれが上昇気流に乗って奴に届く確率はゼロではないのだ、と角都は朗らかに考える。いずれにせよ、隔てるものが繋げるものであるなら距離の長短に何の意味があろうか。