ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

コス野郎5(ss)

魂の友、さくま様からいただいたリク「お前に言われるまでもない」による小話です。さくま様、楽しいお題をありがとうございます^^



昨日通過してきた古都で着ぐるみを見たと飛段が言う。すっげー人だかりでさ、何がいんのかと思ったらそいつなんだよ、女子高生がうじゃうじゃ群れて写真撮ってたぜ。話を聞きながら俺は飛段の体に触れていた。もうすっかり秋だ。町のビジネスホテルの室内ですら朝方には冷気が満ち、灰色の光の中で相棒の肌の表面はひんやりとしている。乳首が特に冷たいので俺は手のひらでそれを温め、肩から背中、冷たい尻へと手を滑らせる。と、両腕の中におさまっていた飛段が、どんなだったか見せてやるぜ、と言ってベッドから降りてしまう。おい、何の話だ。着ぐるみ!噛み合わない言葉を残して飛段はバスルームへ入っていく。腕の中が空になり、やり場のなくなった手で俺は自分の乳首を覆ってみるが、感触も何もかもがつまらなくて落胆する。やはりだめだアレでないと。内心穏やかでなく待つ俺をよそに飛段はしばらくごそごそしていたが、やがてバスタオルを腰に縛りつけ、トイレットペーパーを肩からふたすじほど流し、濡らした髪を頭の左右にねじり出した姿で水場から出てくる。腰に巻いたこれが青くて肩から下げたこれが赤くて頭には角がついてて、あ、あとデコになんか丸いのつけてたなァ。どれ、仕上げをしてやろう、と俺は奴を近くに来させ、額をきつく吸ってかすかな赤い痕を残してやる。オッ、と声を出した飛段は壁の小さな鏡を覗きに行き、その奇妙な恰好のまま俺を振りかえる。なあ角都、こういうのこすぷれっていうんだぜ、こすは服でぷれは劇のことなんだとよ、知ってたか?待ちきれなくなった俺は、ああ、と答えてベッドから降り、相棒の方へ歩を進める。その曖昧な知識を補完するために。プレイが持つ多様な意味を、そろそろ教えてやってもいいころだろう。