ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

独語

けさ読んだ新聞に取材記者のコラムが載っていました。津波の被災地に入り、水が川のように引いたあと、その流れの障害物にたくさんの死体がひっかかっているのを見たとのこと。決して美文ではなく、感情が見える思いのままの文であったように記憶しています。死体の時計は地震発生時ではなく、その30分後で止まっており、今後の災害対策のために人々がその30分間にどう動いたかを克明に検証することが必要であるいう旨が書かれていて、震災以来やけに涙もろい私はまたしても、ああそうなんだ、人の死を無駄にしないということはこういうことなんだ、と心の底から思いながらおうおうと泣きました。精神の動きも検証されるべきですが、人々がどのように行動したか、その結果はどうだったかを正確につきつめて調べていけば、おのずからその精神も明らかになることでしょうから。

以下は私個人の覚書です。
私は職場で被災しました。職場の皆で叫び合いながら外に飛び出すと、まわりの家々から瓦がガラガラと落ちてきており、山の木々が揺れていて、黄色の煙のようなものがどっと立ちのぼっていました。職場の柱が折れ、壁がはじけ、地面は生き物の体表のように動いていて、みんな考えていることをそれぞれ口に出していました。「カーラジオをつけよう」「家におじいちゃんとおばあちゃんが」「寝たきりの○○さんの家が海のそばだけど」「海沿いにある保育所に行かなくちゃ」…
あれからもう一カ月になるなんて早いものです。いろんなことをし、いろんなものを見ましたが、大して学ばなかったような気がします。でも以前の自分よりは経験値が上がっている、はず、ですよね。

○メールでの安否確認をもらっても時間と電源が不足していて満足な返信ができませんでした。自分が出すときにはできるだけ短文で、「無事ならこのメールをそのまま返信して下さい」と打とうと思います。返信文を打つ時間も惜しかったので。
○大きな貯水タンクは水を満たすと運ぶことが難しくなります。女性や高齢者世帯なら10リットル程度のものを複数用意するのが良いかと思います。重いものは両手に下げないと歩けませんし、20リットルを両手に下げるのはかなりキツイです。
○ロウソクは太いものがあればずいぶん持ちます。懐中電燈はあまりあてになりませんでした。電池の備蓄があればいいのでしょうが経年劣化しますし補充は難しいです。
○ウェットティッシュは役立ち品。
○水が来る前は風呂も洗髪もしませんでしたが平気でした。今でも髪は三日に一度洗えば充分、と思います。節電にもなりますし、水も節約できます。
心療内科の医者によると、被災したときは働き過ぎず休み過ぎずがいい、とのことでした。できる限り普段通りということらしいです。当たり前っちゃ当たり前ですが。私の周りでは、体力のない人はダウンして既に復帰済みですが、体力がある人は今になって深刻な過労に陥っています。最初のころは体力の備蓄があるから動けるんですね。自分は頑丈だから、と過信せず、数時間ずつでもちょびちょび休んだ方がいいのでしょう。

今日明日と休みをもらいました。交代で出ている職場の仲間に感謝しつつ骨休めをしています。話の一つも書けたらいいんですが、性根が怠け者ですから…^^;