ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ひねくれ(ss)



攻撃をしくじったオレの体は勢いがついたまま相手の武器にぶつかり、左半身をざくざくに耕されてしまった。相手は大きなおろし金みたいな武器を振り下ろし、刺さったままのオレを地面にこすりつけてそのままミンチにしようとしたが、割り込んできた角都に心臓を貫かれて命を落とした。そして今、角都はおろし金を持ち上げて半分おろされたオレを見下ろしている。今回の失敗は相手の分身を見抜けなかったオレのミスによるものだが、ついさっき「手ェ出すな!」と怒鳴った手前、助太刀の礼を言うのもちょっとバツが悪い。右手で地面を探って身を起こそうとしていると、がらん、とおろし金を取りのけた角都がオレのそばに膝をつき、剥がれてよれた皮膚を伸ばして傷を修復し始めた。いてててとオレはわめき(実際に痛かった)、それに紛らわせて、わりーな、とこっそり呟いてみた。相棒は鼻を鳴らしたきり黙っていたが、もっと小さな声で角都と呼んでみたらどうしたとすぐに応えがあったからさっきのもちゃんと聞こえていたのだろう。呼んだ手前何かを言わなくてはならない。オレの、相棒に対する感情以外の、愚にもつかないさまざまなことを。そうして許されながら、安堵しながら、オレはポイントを外すためのずるい嘘をつき続けるのだ。