ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

目当ての体(ss)



正直な話、オレは角都の体が大好きだ。いつもの無表情なコート姿も強そうでカッコいいが、脱ぐと角都の体はモリモリしてたり締まっていたりとやたらうねうねしていて、とんでもなくそそるのである。九十一歳の野郎の裸を見て興奮するってどうよと思わなくもないが、現に興奮しちゃうんだからしょうがない。今も天然の露天風呂から上がった角都がだるそうに石の上に腰をおろし、うねうねしている体から湯気を上げているんだが、オレの目は相棒に吸い寄せられてしまって脳みそがいくら視線をそらすように命令しても言うことを聞いてくれない。モリモリ部である肩、腕、胸、締まり部の腰、モリモリの太腿とふくらはぎ、締まりの膝と足首。煽られて、へえぇ、と変な息をつくオレを角都が怪訝そうに見る。不機嫌なまなざしにますますヤバいことになったオレは、どうにか目線を魅惑的な体からもぎ離し、下心があらわれてしまったチンを隠しつつ、ほうほうの体で湯から這い出る。どうしたんだ貴様と尋ねる呆れたような声に、のぼせた、とだけ答えて日陰にうずくまり、オレはきつく目を閉じる。体が目当てなんじゃない、目当ての体がそこにあるだけなんだが、その違いを説明するのはどうにも難しそうだ。