ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

目的を果たす(ss)



どうにか期限内に帰り着いたオレが、それでも隠れ家まであと百メートルというところを杖とともに猛進していると、扉が開いて相棒が姿を見せ、こちらへ近づいてきた。片足で歩くのはもううんざりなので相棒から寄ってきてくれるのは嬉しいが、オレは勝負に勝って帰ってきたんだからその辺はアピールしておきたい。なので、相棒が差し出してきた手にオレはつかまらず、かわりに収穫物である革袋を無造作に載せてやった。相棒が袋の口をほどき、てのひらにざらざらと丸い石を出すのをオレは非常にいい気持ちで眺め、たまたま思いついたように言ってやる。あー今日はテメーの誕生日だっけか、偶然だなあ、ま、つまんねーもんだけどそれテメーにやるわ。ふー、とオレは大きく息をつく。やるべきことはやり、言うべきことも言った。オレにしちゃ上出来だ。王様にでもなったような心持でオレは相棒の肩に片手をつき、そうしてオレたち二人でゆっくりと隠れ家へ帰る。ひょこひょこ歩きながら、部屋に入ったら眠ってしまう前に相棒の顔をまじまじと見なきゃならん、とオレは考える。こんな暗い道ではいくら目を凝らしても肝心の顔がよく見えない。相棒には内緒だが、今回オレはずいぶん頑張ったのだ。そのぐらいの褒美はもらってもいいじゃないか。