ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

安っぽい本音(ss)



好きな相手の、自分への気持ちを確かめたい。そんな薄気味悪いほどに青い思いを角都は抑えられず、ときおり妙な形で表に出す。今日も馴染みの商人との取引後、商人の名刺を飛段に渡し「奴にはまとまった金を預けてある。俺にもしものことがあったら奴からそれを受け取れ。当面の足しになるからな」などと言ってみる。そんな金があるんなら今使おうぜー、と飛段は返すが、商人の名刺はすぐに破り捨てるし、しばらくは暗い仏頂面で下を向いて歩き続ける。それを見ながら角都はジワジワと喜ぶ。しかし商人には本当に金を預けてあるのだった。飛段にとっては悲しいことに。