ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

独語・スケ10(trash)

スケ話ももう10話目。どこかで見切りをつけねば、と思いつつダラダラ続けています。こんなところまで読んでくださる方、本当にありがとうございます。



<スケッチ 10>


数人の仲間と飲みに行った。夜が更けてメンバーが一人二人と欠けてゆき、最後に残ったオレともう一人でさらに飲むうちになんとなくそんな雰囲気になった。前にも同じようなことがあった。別にオレたちつきあってるわけじゃないんだが多分タイミングが合うんだろう。店を出てよろける互いを小突きあいながら歩いていたらラブホがあり、奴がオレの首を抱えて偶然のようにそっちによろけていく。まあいいか、とも思ったが、モデルのバイトを思い出してちょっと引っかかった。前にこいつとつるんだあと、オレは噛み痕だらけのとんでもない体でバイトに行ってしまい、赤っ恥をかいている。角都は何も言わなかったけれど、なんだかうんざりしたような顔をしていた。あれが一番ひどかったが、あの後もうっかりキスマークなんかをつけたまま行くといつも角都は嫌そうな顔をした。そりゃ誰だってそんな奴なんか描きたくなかろう。とりあえずオレは自分の首に巻かれている腕をほどこうとしたが、相手は冗談だと思ったのかぐいぐい力を入れてきて、しまいにはヘッドロック状態になった。仕方がないのでオレは片手を相手の股下に入れて玉をつかんだ。卑怯だが一番効果がある。奴はワーと言って腕を緩め、何するんだと怒鳴ってこっちの顔に頭突きをしてきた。それからあとはもうメチャクチャだ。オレだってやるときはやる。しょせん酔っぱらいの喧嘩だからタコの殴り合いみたいだったけど。そんなこんなで次のモデルのときのオレの体はちょっとした見ものだった。これは名誉の負傷なんだからな、とオレは晴々と言った。青とか黒とか黄色もあってカラフルだろ、せっかくだから今日は絵の具で描くといいぜ、角都よ。唇をいびつに腫れあがらせ目の回りを黒くしているオレを角都は怪訝そうにじろじろと見た。ずいぶんと驚き呆れているようだったが、少なくともうんざりはしていないようだった。


→スケッチ11