ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

永遠の夏(ss)



換金所にあった古雑誌をめくっていた飛段はビーチリゾートの観光ページに目をとめ、あごをさすりながら考えごとをする。輝く太陽の下、実をつけたヤシの木がそびえたつ。実物を見たこともないこんなものに既視感を覚えるとはどうしたことか。その夜、安宿で相棒と荒々しく交わり床に伸びていた飛段は、裸で立ち上がる相棒を見上げて唐突に答を得る。黄色い裸電球をバックに立つ角都の長い脚の付け根にぶら下がる果実とその上の鬱蒼たる茂み。おおオレの夏よ、と飛段はかすむ目をこする。眩しいのではない、種子の豊かな胚乳が目に入ったからだ。ついさっき。