ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

仁王立ちって案外無防備(ss)



オレは角都より背が低い。オレもでかい方だから引け目は感じないが、喧嘩しているときなんかは相手の威圧感をうらやましく思ったりもする。なので、二人で飲み屋への階段を上っていたとき、ちょいと思いついたオレは相棒を追い越して上の段に立ち、振り向いて奴を見下ろしてやったのだ。たった一段だが奴の頭がオレのより下にあるのはなかなかいい気分だった。股を開いて腕を組みあごを上げてできるだけ悪い顔でゲハハアと笑ってやったら、あの野郎いきなりこっちのタマをぎゅっとつかんできやがった。まったく予想外だ。たまげてキャーンと鳴き、急所を押さえて前かがみになるオレを尻目に、何がしたいんだバカが、と言い捨てて相棒はさっさと階段を上っていく。オレもとりあえずへっぴり腰で後に続く。くやしい。見上げる相棒の後ろ姿が格好いいところなんかが特にくやしい。