ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

Desperation(ss)

彩之介様からのリクエスト「desperation!」による小話です。角都と飛段が絶望するとすれば別れの時だろうなあ、けどそれは難しいし、ということで過去捏造です(汗)すてきなお題なのに消化不良ですみませんm(__)m



湯忍の一団と行き違ったとき、隣を歩いていた相棒が突然その一団に向かって飛び出していったので俺は驚いた。ひねりもなく一直線に、まるで鉄砲玉だ。一団は一瞬乱れたが、すぐに戦闘配置を取って攻撃に対応しようとした。うおお、と飛段が叫んで鎌を振り回す。毎日共にいるのにこんな余裕のない相棒の顔は初めて見る。俺は傍観する。狂ったように暴れる相棒の攻撃範囲に踏み込むのは危険だ。力まかせの荒い攻撃は防御面では穴だらけで、飛段は満身創痍になりながらそれでも相手を押していく。湯忍は一人二人と倒されてゆき、残りは団長らしき男一人となった。体中にクナイや刀を突き立てたまま詰め寄る飛段に男が叫ぶ。その口を飛段の鎌が薙ぎ払う。貴様の声を聞くと虫唾が走るんだよバーカ。ずいぶん血なまぐさくなった路上で飛段は死体に唾を吐く。そいつら何者だ、と俺が尋ねたのは自分が飛段と同じ側に立っていることを示したかったからだが、うるせえ黙れ、と返されたところを見るとそれはこちらのエゴだったのだろう。俺はうぬぼれていたのかもしれない。