ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

有料オプション(ss)

「魔法のポケット」の角都視点を読みたいと言ってくださった方へ。ちょっとご希望からずれてしまいましたが楽しく書けました(^^ゞこれに懲りず、よろしければまたお越しくださいませ。



飛段の欲の薄さに角都は苛立つ。十両でキスというシステムは角都がまめに十両玉を補充しておくので順調に動いている。それはいいのだが、あれだけキスをさせておいてそこ止まりというのは角都には解せない。例えばキスをして腰を抱いたら喉に胸にキスが(こんなにキスという単語を考える羽目になるとは屈辱だ、と角都は思った)おりていくのはいっそ自然ではなかろうか。そしてそれ以上のことに発展するのも同様に。生殺しに耐えてきた角都はある日とうとう我慢できなくなり、勝手に行為をエスカレートさせた。予想外の展開に、えっ十両しか払ってねーのに、と驚く飛段に向かって角都は、ここからは別料金だがどうする、と告げる。ええー、と飛段は相棒のがめつさに呆れながらも慌てて隠しを探り、角都が前もって仕込んでおいた札をつかみだす。フン百両か、と角都は唸り、サービスを続行しながら受け取った札を飛段の隠しに再び滑り込ませる。かくして一枚の札は飛段が朦朧とするまで二人の間を行き来する。角都は満足である。金は万能ではない。だが状況によっては万能に近いことも確かだ。