ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

それはそれ、これはこれ(ss)



焼け果てた地面にしかばねが累々と横たわるなか、角都はそれらの顔をざっと調べてビンゴブックと照らし合わせていく。角都にとって死体はカネあるいは腐敗物に化ける物品であり、つまり死は最終形に至る前の一過程にすぎない。激しい思いのままに死骸を損壊したり祀りあげたりする者もあるが、それを喜んだり悲しんだりするのは生きている者たちの勝手であると角都は考えている。尊厳は肉体に宿るものでもなし、死んだ者は脱ぎ捨てた肉体がどんなふうに扱われたところで気にしようがないだろう、そもそも感覚もないのだから。金になりそうな首が紛れていないことを確認すると、角都はビンゴブックを腰ひもにはさみこみ、コートを脱いで、死体の一つにそれを着せて肩に担ぐ。ひどく寒い気候だったし、死体の服は角都の火遁ですっかり燃えてしまっていたからである。