ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

おすそわける(ss)

角都さん、お誕生日おめでとう!


縁日の夜、宿の浴衣をひっかけて角都と飛段は雑踏の中をうろついた。神社の宝物に見入る角都をよそに飛段は夜店を渡り歩き、再び相棒と合流したときには焼きそばとトウモロコシ、綿あめ、たこ焼き、それにヨーヨー二つを両手にぶら下げ、口には焼き鳥を一串くわえていた。呆れた角都が短く笑う。ずいぶんな散財だな、俺へのお裾分けはないのか。聞いた飛段は少し考えるふうだったが、さまざまな荷物でふさがっている両手で浴衣の裾をつかむとそれを幕のように開いて見せた。自分なりに「お裾分け」はこうであろうと考えたのだろう。角都はまた短く笑ったが馬鹿にした笑い方ではなかった。お裾分けは相手を喜ばせたい気持ちのあらわれだ。これでいいのかもしれない。