ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

青二才(ss)



仕事の完了報告に出向いた先の大名が酒の席で俺を召抱えたいと言い出した。俺は高値だし気が変われば寝首も掻くと答えたが、それでも構わないと言い、答えずに飲んでいるとどんどん値を吊り上げる。隣に座っている相棒は当初から面白くなさそうだったが、大名が何度目かの勧誘を始めると伏せた盃を叩きつけるように置き、てめーしつこいぞ、と唸った。さっきから聞いてりゃ何だ、てめー角都が強ぇから欲しいんだな、なら角都より強ぇ奴が出てくりゃそっちが欲しくなるんだろう、そんな野郎に角都はやれねえ、諦めな。相棒の男臭い言葉に俺は触発され、負けじと目に凄みを込めてあたりをぎょろりと見渡してやった。だが、大名もまわりの者も感銘を受けた様子はなく、相棒のセリフと俺の睨みはあっさりとスルーされた。なんのかんの言っても彼らは大人だったのだ。