ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ゆきのおもしろうふりたりしあした・ション13(ss)



野宿の穴倉から出るとあたりは眩しいばかりの雪景色。降ってしまえば空も落ち着き、無風の青空に鳥が飛ぶ。角都と飛段は同じ目的をもって腰まで積もった雪をこぎ、枝を広げた大木の下、やや雪が浅いところまで移動すると、各々のズボンから道具を引っぱり出して白い雪の上へ温水を放つ。お前のオレンジ、オレのはレモン、と飛段が歌うように口にする。見れば確かにそんな感じで、一瞬、本当に一瞬だけ、角都はレモンのそれを食べてみたいと考える。雪がたいそう降り積もった朝のこと。