ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

泣かされる(ss)



行為の最中、仰向けの飛段がこちらへ腕を伸ばしてきた。口づけが欲しいときの癖なのだ。ゆっくりと頭を下げると奴は両手で俺の頬をはさみ、自分も上体を起こして顔を近づけてきた。ぺろりと唇を舐められてから口を吸われ、奴の親指が俺の目尻をなぞる。恥知らずの変態のくせに変なところで可愛げがある相棒。愛い奴め、と内心やにさがっていると、急に目に違和感を覚えた。熱い、というか痛い。しかもどんどん強烈になる。晩飯を作るとき相棒に唐辛子をちぎらせたことを俺は思い出す。あわてて頭を上げようとするが相棒が猿のようにしがみついてくるのでうまくいかない。たまらず目をきつく閉じると熱い涙がじわりとにじむ。うわ、たまんねェ、と飛段のかすれ声がする。角都きもちい?泣いちゃうほどきもちい?ちょっオメェマジかわいいマジやべェ。違うこれは、と言いかけた口をまた吸われ、腰を相手の脚でがっちりホールドされ、俺の玉は相棒の尻たぶの間に具合よく押しつけられる。うぐぐ、と呻きながら俺は新しい涙を流す。むろん唐辛子のせいである。