ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

愚者の幸せ(ss)

クリスマス関連の話。



角都は不機嫌だ。商業的な宣伝に簡単に乗る相棒にも我慢ならないが(そもそもそれは異教の行事ではないのか?)、それを黙認した自分が許せない。むっつりしている角都をよそに、飛段は購入した菓子を嬉しげにぶら下げ、隣の相棒に自分の肩をぶつけながら歩いている。菓子が壊れるぞ、と言いかけた言葉を角都は飲み込む。飛段が欲しがったのは菓子だけではなく、それをぶら下げて誰かに肩をぶつけながらどこかに帰る行為だということは角都にもわかっている。そんな配慮を知ってか知らずか、機嫌直せよ角都ゥ帰ったらケーキ口移ししてやるからよォ、と飛段が実に頭が悪そうな発言をしてゲハハと笑う。痛いほどの冷気の中、相棒の口から白い息がたなびくのを見ながら、一瞬、角都はこの時が永遠に続けばいいなどとふざけたことを本気で希求する。