ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

白状する(ss)

多分、同じことを何度もやっていると思います。



大して強くもないようだが飛段の酒は陽気だ。常に戦忍の意識がどこかで目覚めている角都と異なり、享楽的に飲む。黙って飲みたい角都にとって、一人で愚にもつかない与太話をして勝手に満足する飛段は意外に良い飲み相手である。今日も安焼酎をひっかけて上機嫌に酔っ払った飛段は、飲み屋のヤニ染みた壁に寄りかかり盛んに己の宗教を褒め称えていたが、酔いがさらに進んでくると手酌で燗酒を飲む角都ににじり寄り、赤い顔を間近に寄せて、熱のこもった口調で自分語りを始めた。オレは暁なんか別にどうでもよかったんだ、一人だとつまんねーけどまわりの奴らはどーせ先に死ぬしよ、まあジャシン様がいるんだから他のもの全部ギセーにしてもしゃーねーじゃん?諦めてんじゃなくてそーゆーもんなんだよ宗教って、けどよ、暁のうわさ聞いて角都のことも聞いて不死なんてどーせガセだろーって思ってたらホントらしいし、そしたらなんか、あーもしかしてって考えちまってよォ。だらだら続く酔っ払いのたわごとを角都は黙って聞き、その先を待つ。相棒の態度とその視線が自分に向けられていることに飛段はとても満足し、さらに顔を近づける。なあ角都、実はオレが暁に入ったのって、おめーがいたからなんだ、これ秘密だぜ、ぜったいぜったい誰にも言うんじゃねーぜ。ひそひそと耳元で囁いて身を離す飛段の、嬉しそうな、少し悔しそうな顔を眺め、角都もとても満足する。