ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

寝不足が続いたある日のセリフ(ss)



印を結び終える前に一瞬意識が飛んだ。術は発動したので、体は勝手に正しく動いたらしいが、飛段がちらっと視線を寄こしたところを見るとやはり遅れ気味だったのかもしれない。角都は気合を入れ直し、手っ取り早く火遁で相手を殲滅しようとしたが、思ったより素早く相手が間合いを詰めてきたため、とっさに腕を伸ばして捕獲を狙った。そこに鎌を振り回しながら飛段が飛び込み、イライラと怒鳴る。テメーなにやってんだ本体あっちだろーが、見てらんねーオレがやるから下がってろ。飛段に従うわけではなく奴の鎌の範囲から外れるだけだ、と自分に言い聞かせながら角都は移動し、ちょこまかと飛び回る相棒のサポートに徹する。ほどなくズタズタのコートを血に染めて戻ってきた飛段は、儀式はやらんのかと尋ねる角都にうろんげな目を向け、疲れてんならそう言えよ角都、危なっかしくて寿命が縮むからよ、と言う。それをお前が言うか飛段、と返した角都は不意におかしくなり、冷静さを保つべく腹筋に力を入れる。が、こらえきれない。飛段は鎌を背負いながらフーと息を吐き、いかにも呆れたふうに、肩を揺らす角都を見やる。