ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

棲む(ss)



かつて飛段は流浪の身で、程度の差こそあれ角都も似たようなものだった。暁はかなり自由な組織であり、所属したからといって無頼な生活を変える必要はなかったが、角都も飛段もときには昔の生活を懐かしむことがある。足枷のない人生は軽やかで、過去を好きなように切り離し、常に新しい環境に顔を向けて生きていくのはすばらしい。角都は飛段の傷を縫い合わせているときに、飛段は戦闘の最中角都をちらちら見ているときに、いつの間に自分はこんなしがらみを持つようになったのだろうと考える。そして時おり互いにうんざりしながらも隣の定位置はゆずらない。もう棲んでしまっているのだ。互いの隣に。