ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ヒーロー(ss)



今日の相手は毒煙を使う奴だった。こうなるとオレの出番だ。相手は角都をとりたかったみたいだけどその前にオレを片付けないとならなかったし、それができなかったんで今は崖の下に青むくれて転がっている。首も折れてるけど死因は毒だろう。相手が放った毒煙玉をオレが持ち主の口に詰め込んでやったからだ。多少耐性はあったようだが、濃度の高いものを直に体内に入れられたんじゃ死なない方がおかしい。実際かなりキツい毒でオレもひどい目についた。相手を道から突き落したとたんバーッと目の前が白くなり、すぐに足が立たなくなってこけてしまったオレはションベンまで漏らして超焦った。角都がいそうな方向へ、オレにさわんなよ!絶対さわんなよ!と叫んでおいたのに(だってほっときゃ治るんだから)目をあけたらこの有様だ。オレの服は洗われて木の枝でのんきにはためいている。パンツまで。オレ自身もなんだかこざっぱりと洗われてでかいコートにくるまり、角都がそれを抱えている。なんという生き恥。慌ててオレはまた死んだふりをする。ずるいぞ角都!オレがお前を助けたのに!最後までカッコよく決めたかったのに!台無しにしやがったなテメー!