ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

そんな変化(ss)



野宿の朝、いつものように準備が遅いと言われてテメーが早すぎるんだとブツブツ言い返していた飛段は、武器を装着しようとして手を止めた。おい角都これ触ってみろよほらこれ。目の前に突き出された鎌の柄を角都はいったん払い除けるが、飛段のしつこさには敵わず、言われるままに握ってみる。特に何の変哲もない。怪訝そうな相棒に対し、飛段は、いつもはソレ凍ってて手にくっつくんだぜ今日はあったけーんだな角都、と説明する。季節の変化と感情を結びつけることのない角都は相棒が何を言いたいのか理解できないが、自分に向いている赤い頬と鼻の頭と嬉しげに下がった眉を見ると、それがどうした、とは言えなくなってしまう。春が近い。