ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

スーパーパワー(ss)



分野を問わずニュースに興味のない飛段だが、角都が熱心に見ているものはやはり気になる。報道陣に揉まれながら連行されていく男。こいつ何やったんだと尋ねると、詐欺だと角都が返した。なんでも減らない魔法の金を信じた人々から莫大な金を集めたのだという。飛段は不思議でしょうがない。預ける金があるなら、そいつらは金に困ってなかったんだろ?持つほどに欲しくなるのが金というものだ、と角都が言う。金をコントロールできるなどと思うから失敗する、金にコントロールされているという自覚を持たないと金とは付き合えん。そのうやうやしい口ぶりにまるで宗教だなと飛段は言い、唐突に相棒に顔を寄せてキスをする。角都は無反応に徹する。こいつの扱い難さは金の比ではない。そんな相手の誘いに簡単に乗るほど角都は暇でもないし身の程知らずでもないのだ。