ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

組んで間もない頃(ss)



場をわきまえないしつこい宗教の勧誘に嫌気がさした俺は、相手の髪をわしづかみにし、いい加減にしないと髪を全部引きむしるぞと脅した。奴はふくれっ面をして不承不承頷くと、解放された頭皮をさすりながら、せっかく誘ってやったのに、とブツブツ文句を言った。誰かと何かを共有しようなどと考えるな、俺にとっての金と同じくそのジャシンとやらがお前にとって大事なものなら独占しておけ。俺としては我慢の説教だったのだが、奴は、オレはテメーみてーなケチ野郎じゃねぇんだよと言い返したばかりか、まったく懲りていない様子に目を吊り上げる俺に対し、まーオレも誰かと角都を共有するつもりはねぇけどな、とへらりと笑ってみせた。こんな奴をどう扱えばいいのだろう。殺せない相棒というものは俺が考えていたよりもずっと厄介な存在らしかった。