ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

この桜お前の目の色と同じだなと言ったのだ夢の中では(ss)



今年は桜が早いらしい。だからゆうべ、明日は山道を行くぞと相棒が言った時、オレは、もしかしたら桜がわんさか咲いているところを角都と一緒に歩けるんじゃないか、そしてイイ雰囲気になっちゃったりして!とこっそり期待した。もしかしたら、というのは案外くせもので、オレの頭の中はそればっかりになってしまい、夜じゅうモンモンとしてろくに眠れなかった。ちょっぴり寝た時にはとてもひとには言えないような夢を見ていた…おもに角都がオレに何か言ってきたりしたりする夢だ。そんなこんなで寝不足のオレは、当日くたびれた頭でフラフラと山道を歩くはめになった。朝の雨がやんでから気温はどんどん上がり、山の薄い空気の中でオレは老いぼれた犬のように喘いだ。だらしないオレに角都は怒っていたが、こっちが言い返せないほどよれよれなのを知ると黙って手を引いてくれた。なんだか無性にうれしくてオレは懸命に歩いた。ぽつぽつ咲いていた桜のそばも通ったし、悪くない誕生日だったと思う。夢とはずいぶん違ったけれど。