ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

まっさかり(ss)



相棒の破れた脇腹を繕っていたとき、その相棒がふいにニヤリとしてこちらの顔を覗きこんできた。角都テメー今ちょっとその気になったろ、さわり方がやらしかったぜオイ。無視して黙って縫い続けていると、相棒は急にバツが悪そうに横を向き、それでも小さな声でぶつぶつ言い続けた。へっ、ヤリてーくせにカッコつけやがって、サカってんの知ってんだからな、このむっつりスケベジジイが。視線が逸らされているのをいいことに、今度は俺がその横顔を眺めた。白桃のような頬にうっすら血が上っているのは痛みのせいもあるのだろうが、多分恥じているのだ。見たものに俺は満足し、縫い終わりの繊維をきつく引いて、イテェイテェと騒ぐ相棒に言ってやる。したいのなら他人のせいにせずに自分から誘え、飛段。ハァー?!バッカじゃねー、誰がっ、と噛みつく声が途切れたのは俺の手の動きが本当に「やらしくなった」からである。強がっても所詮飛段はアマチュアだ。そして俺はプロなのだった。