ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ラブシート(ss)



背中を半分ぐらい切り下げられた。相手の武器はよく切れるノコギリみたいなやつで肩に食い込んだとき正直やべぇと思ったけど、あたり一面にマキビシが散らばってたし逃げるのも面倒くさかったんで、そのまま攻撃しようとしたらざっくりやられた。右腕が肩から取れちまってうまく鎌が使えなくなり思いっきりオタオタするオレを、相棒は最初冷てぇ目で見てたけど、結局加勢してくれた、つーかあいつが手を出したらあっと言う間に片がついちまった。まあこんなもんだ、オレの相棒はマジで強い。けど同じぐらい小言もうるさい。なぜ見え透いた攻撃を避けない、不死だからと言って調子に乗るな、動けなくなったら相手の思うままだろう、のろまなくせに挑発だけは達者な阿呆め…ウッセーと言い返してみたけど、腕はもげてるし体は半分裂けて中身がはみ出てきてるし、我ながら威厳がなかったと思う。相棒もそう思ったのかフンと鼻を鳴らして小言をやめ、なぜか奴自身のコートを脱いで武器の破片だらけの地面にばさりと広げると、オレを指で呼んだ。もういい、縫ってやるからこっちへ来い。最初わけがわからなかったけど、どうやらそのコートはオレのための敷物らしい。ええっテメー騎士かなんかかよ!今までもいろんな奴相手にそんなことしてきたわけ?どんだけタラシなんだ!たまげて口をぱくぱくさせるオレを角都は怪訝そうに見る。どうした飛段、のろのろするな。犬のように呼ばれたオレは、片腕を抱えてこぼれる内臓を抑えながら、どこぞの姫の如くおずおずとコートの上に座った。半分おっこちてきている心臓が手の中で脈打っている。角都が当然のように隣に膝をつき、オレの体にいろいろしてくる。これってまるで。いやもう全然違うってわかってる、わかってるけどよ。