ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

なぜオレが怒られる(ss)



そりゃ、あそこはフツーの宿じゃなくて連れ込み宿だった、けどそんなことオレが知るわけないだろう。ガチムチ系のつるっぱげが泊ってるかどうか訊いたのに宿の兄ちゃんが教えしぶるから、オレはただそいつに呼ばれたんだけどって言ってみただけなんだ。元はと言えば角都が悪い。賞金首がそこにいるかどうか確かめたかったら自分で行きゃあいいよな。それを自分じゃ目立つからと、ご丁寧にもどっかから拾ってきたヨレヨレのスーツをオレに着せて送り出したんだから。いやもう変装って点ではカンペキだったぜ、きたねえシャツとスーツ着て裸足でぼろ靴履いて前髪垂らしたオレはどう見ても金がないプーにしか見えなかったもん。多分それで兄ちゃんが誤解しちゃったんだな。あーアンタが、っつってオレの腕を掴んでガチムチパゲの部屋まで連れて行き、お待ちのお連れさん来ましたよって中に押し込みやがったんだ。そこにいるかどうか知りたかっただけの相手と予期せぬご対面をしたオレは超焦った。対照的に相手は余裕綽々でいやんなるぐらい臨戦態勢だった…まあ、いろんな意味で。だからオレはやれることをやったんだ。けっこう大変だった、賞金は伊達じゃなかったんだろう。ものすげー音を立てても見に来なかった兄ちゃんは賢い。覗かれたらあいつもやらなきゃなんなかったところだ。結果的には角都だって手間が省けたんだから感謝してくれてもいいんじゃねぇか、なあ?窓から死体を持って出て角都んとこ戻った時にはてっきり大喜びするだろうと思ったのに、あのヤロー死体をわきにぽいと投げてオレの髪をつかみ、この痕は何だこの痕はどうした何をされた何をした、と質問攻めにしてきた。あんなときチューぐらいすんだろフツー、耳だって噛みたくて噛んだんじゃねー血が必要だったからって何度言っても納得しねぇ。オレを行かせたテメーが悪いと怒鳴ってやったらすげー目でオレをじっと見てやっと黙った。ふん、テメー以外の奴相手にあんなことしたくてするかっての。ちゃんと謝るまでチューはお預けだかんな、バーカ!