ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ピース(ss)



午後になりたての時間、休憩中の木陰で飛段が腹回りを掻いている。なんとも下品で野卑なその動作を俺はいらいらと横目で睨む。確かに暑くなってきたが、まだ汗疹ができる季節ではない。また蚤か、それとも不潔から生じた新たな菌か?ちげーよバーカ、と相棒はだるそうに答える。角都が悪いんだぜ、こないだテメーとやった日から痒いんだ、テメーのアレでかぶれたんじゃねーか。これはとんだ言いがかりである。確かに俺は飛段の腹にかけた、けれども飛段だって俺の腹にかけたのだ。へそとへそを合わせて過ごした俺たちの間で体液は混ざりあい、乾いて、身を離す俺たちの動きに一瞬抵抗してからパリパリと剥がれた。悪い思い出ではなかったあの出来事を否定的に語られて、俺はムッとする。フン、かぶれたのだとすれば大方お前のが腐っていたのだろう、サカってばかりいるエロガキが。なんだとォ喧嘩売る気かスケベジジィ。豊かに葉を茂らせる椎の大木の根元で、俺たちは互いにそっぽを向きながらゆっくりと口喧嘩をする。戦闘も謀略も殺人もなかったある日のこと。