ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

求愛ダンス(ss)



組んだ当初には思いもよらないことだったが、さほど経たないうちに今の相棒と俺はそのような仲になった。互いに相手の本質を疎んじたことが原因だったのかもしれない。俺は相棒の信仰を、相棒は俺の拝金主義を決して理解しなかったが、多分その二つは同じ所に根ざしていたのだろう。俺たちは似た者同士だったのだ。確か喧嘩の延長だったと思うが、ある日俺はひょんなことから相棒に深く触れ、それが別の行為に発展した。それをきっかけに相棒の態度が変わった。ことあるごとに偶然を装って、あるいはあからさまに肩をぶつけ、じゃれるように絡み、ふいに顔を近づけ、言葉で挑発する。歳の離れた同性相手にそんな真似をするとはかわいそうな奴だなと思ったことを覚えている。じきにふさわしい相手を見つけてそれらしく振舞うのだろうと高を括ってあしらっていたのだが、なぜか相棒はそんな状況に満足したようで新しい連れを探そうとはしなかった。そうこうするうちに俺たちの関係は常習化したが、相棒の幼稚なちょっかいは相変わらずで、対する俺の短気も同様だ。いい加減にしろ貴様、殺すぞ。ああやれるもんならやれよ、腰抜けヤロー。そうして俺たちは原始的な感情を相手に伝えるため、今日も衛星のように互いのまわりを回りながら殴ったり小突いたりを繰り返すのである。